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サスペンスものをネタばれなしで語るには、かなり努力が必要になります。だから、好きだけどあまり取り上げる事ができなかったりする。
スタイリッシュな作りの映画です。優しすぎる男には注意しろ!と女性陣に言いたい。特にカルメン(ナタリア・ベルベケ)のように美しい
女性に…。彼女の前では、すべての男に下心があると言ってもいいでしょう。なるほど、そういう事だったのかと思わせる結末まで
上手く運んでいる。運んでいるのだが、最後の最後は、ちょっと付け足し感が否めない。それでも、飽きずにハラハラしながら観る事が
できます。キット(ガエル・ガルシア・ベルナル)とバーナビー(ジェームズ・ダーシー)は違ったタイプのいい男。このキャスティング
が項を奏していると思います。恋愛絡みのサスペンスは、知らず知らずの内に気持ちを揺さぶられるような気がする。両極端な気は
するが、危険を感じ疑心暗鬼になっている時の感情と恋愛の感情のテンションは同じなのかもしれない。
以前、仏映画で”リード・マイ・リップス”を取り上げたが、その映画を観た時の気持ちに近い気がする。
2003年 マシュー・パークヒル監督
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いろんな映画が入ってきているからしょうがないんだろうけど、最近の上映期間は短すぎると思う。この映画も小さいスクリーン
に追いやられていました。
星条旗を掲げたあの有名な銅像が硫黄島のものだという事を初めて知りました。さらに、隠された真実があったとは…。事実が
埋もれてしまう事なく、こうして世間に知らされて良かったと思う。戦場に行くのも、国で英雄として称えられるのも当人たちに
とっては地獄だったのかもしれないと思った。硫黄島の戦いについては、NHKの特集などで映像を見た憶えがある。アメリカが
録った太平洋戦争の記録フィルムはかなりの数なのでしょう。こういう事実に基づいた話は、淡々と描けば描くほど心にずしりと
くる。イーストウッドは役者の無名性を重視したようだが、結果的にその事が功を奏していたと思う。戦場の若者たちの区別など
つくはずもない。つくはずもないのだが、親にとってみればたとえ身体の一部であろうとも息子だと分かるのである。その事実を
目の当たりにした時、涙が止まらなかった。
ポール・ハギスの脚本である。今一番売れっ子で期待を裏切らない脚本家だと思う。”007/カジノロワイヤル”も観たくなりました。
2006年 クリント・イーストウッド監督
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人間が人間を裁けるのか?重ぉいテーマだけど、本になったり映画になったり常に問題提起しているところがアメリカならでは
という気がします。
客観的な目線を大事にした作りになっている。死刑制度の是非を問う作品は、どちらかというと加害者側の立場を強調する事が多い
気がするが、この作品は被害者側についても一歩踏み込んだ描き方をしていたと思う。結果、事件を詳細に再現するような場面も
何回か出てくる。その様子がシスターヘレン(スーザン・サランドン)が実際にマシュー(ショーン・ペン)から聴き出した内容
だとすると、マシューがシスターに対してどれだけ心を開いていたかが想像できる。死刑になる犯罪者。自分自身、面と向かう機会も
ないと思うが、率直に怖いだろうなぁと思う。普通に話す事もできないだろうし、同じ人間として考える事ができないと思う。
犯罪者にも喜びも悲しみもあるのだと分かっていてもなかなかその心の奥まで入り込めないだろう。マシューに対するシスターへレン
の慈悲深い対応は、何かを超越した人間の凄さを目にした気がします。
スーザン・サランドンもショーン・ペンも凄かった。この二人だからここまで人物像を掘り下げる事ができたかなぁと思った。
1995年 ティム・ロビンス監督
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アンドリュー・ラウという監督は、サスペンスを描くにしても愛を描くにしても、とかく時間に翻弄される人間の儚さをテーマに
しているような気がする。
オランダの美しい景色が、天国を思わせる。そのまま何も起こらず、何も変わらず過ぎて欲しいという気持ちになる。ヘヨン
(チョン・ジヒョン)が思いを寄せる人と出会うエピソードは、まるでおとぎ話のようだ。そして、ほどなくしてジョンウ(イ・ソンジェ)
と出会う。ジヒョンファンの私としては、そこまでのラブストーリーでもOKだったかもしれない。でも、後半の展開こそが韓国映画の
特長とも言える気がする。分かっていてもそのパターンに嵌ってしまう自分がいる。そういう展開が好きなんですね。脚本家
は人の心をかき乱す方法を知り尽くしている感じがします。後半は、パクウィ(チョン・ウソン)の行動を見て、こんな静かな
愛の形もあるんだと思った。切ないです。三人三様に一つの軒先で雨宿りをしているラストシーンがとても印象的。もう一度
初めからやり直させてあげたい気持ちになります。
毎度の事ながら韓国の俳優は上手いなぁと思います。チョン・ウソン、こんな才能ある俳優さんがいたんだなぁ。今回の脚本家
クァク・ジェヨンも好きです。
2006年 アンドリュー・ラウ監督
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監督は「世の中の底辺の部分で頑張っている人間を取り上げたい」みたいな事を言っていたと思います。ちなみにトンケとは
韓国語で野良犬という意味だそうです。
チョルミン(チョン・ウソン)の独特な喋り方は、地方訛りのようです。私には、訛りが上手いかどうかの判断はつきませんが、
全体的にいつものチョン・ウソンとは違う。かなり情けない感じです。幼い頃に母を亡くしたという事もあるのだろうが、警察官
である父親(キム・ガプス)から親離れできずにいて、それが高校をやめる原因の一つだったとも思える。でも、この親子関係が
とてもいい感じで、これがこの映画のテーマだと思った。父のために家事に勤しむトンケことチョルミン。優しい青年なんだけど
父親としてはもうちょっと男らしくなって欲しかったのかも。ジョンエ(オム・ジウォン)と暮らすことにした理由もそこらへんかなぁ。
マイペースではあるが少しずつ男らしくなっていくトンケ。そんなトンケを突き放しながらも陰で見守る父親。父の思惑は成功かな
という結末です。それにしても、また犬を食すシーンが…。そういう文化があるとは分かっていてもショックです。
しばらく、チョン・ウソン関連の作品が続きそうです。この作品は、かなり役に入れ込んでいたようです。
2003年 クァク・キョンテク監督
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ただただ、レスリー・チャンの作品が観たくなってしまいこの作品を選んだ。3部作のシリーズ物です。
映画が娯楽だという事を教えてくれる作品。コメディ、ロマンス、アクション、いろんな要素を含んでいて映像もとてもきれいだった。
映像の美しさには、主演の役者二人の美しさも手伝っていると思う。幻想的で私が苦手なワイヤーの動きにもわざとらしさがなく、
この程度の使い方だったら違和感なく観る事ができる。ニン(レスリー・チャン)のおとぼけな仕草や表情に親しみを覚えます。
そんなところにレスリー・チャンのスター性を感じる。映画の中のきちんと供養する事で来世へ逝けるという亡くなった魂に対する考え方が
アジアならではないかと思った。日本の時代劇のような話しの運びなのだが、役者が登場するタイミングや細かい話しの設定が絶妙。
これは、計算して作られたものではなく長年かかって香港映画界に脈々と引き継がれてきた物のように感じた。
香港映画界は、韓国映画に強く影響を与えていると思う。日本で公開未定のチョン・ウソンの”中天”という映画は、規模は違う
もののこんなイメージでは?と想像している。
1987年 チン・シウトン監督
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シリーズ一作目のヒットを受けての制作ということです。最近は続編も観ることにしている。期待が外れると決めつけるのは
良くないと思うから…。
一作目の泥臭さがなくなった。結構そこが好きだったのに…。しかし、レスリー・チャンとジョイ・ウォンの美しさは変わらず。
それに加えてジャッキー・チュンの陰陽師?がとぼけた感じでいい味を出しています。ミシェール・リーは、本作品が映画デビュー
作かな?お話しの構成はますます水戸黄門チックになっています。今回の妖怪は変身する前、なんだか不気味で怖かった。前回同様
、性別がはっきりしない感じのところが特に。下世話な感想だが、お金をかけた感じが伝わってきた。爆破シーンの多用に大きな
ムカデ?たぶん低予算でも内容に支障はなかったと思うのだが…。一作目と同様にツァイ・サン(レスリー・チャン)とチー・フォン
(ジョイ・ウォン)のキスシーンがきれいだった。これは、欠かせないという事をちゃんと分かってらっしゃる。思いっきり旅は
つづく…って終わり方してます。
日本人は、かなり欧米よりになっている。やはり教育の段階でアジアについて語られている事が少ないからしょうがないかな。
自分を知るためには、隣人を知る事も大事だと思う。
1990年 チン・シウトン監督
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なんてこと!シリーズものだから当然レスリーに会えると思っていたのに…残念。これってリメイクと謳った方がいいんじゃない?
というわけで、レスリー・チャンの替わりにトニー・レオンが修行僧で登場です。おおまかな内容は一作目と同じ。テーマ曲は
レスリーの歌からジャッキー・チュンへ…。”2”が思いっきりつづくっていう感じだったのに…。勘ぐるわけではないが、
レスリー・チャンとの契約が上手くいかなかったんでしょうね。まぁこれはこれで有りなのかもしれないけど、残念ながらトニー・レオン
では私の心の中のレスリーの穴を埋める事はできなかった…(トニーファンの方ごめんね)。今回のジョイ・ウォンは、かわいらしさ
と意地らしさが前面に出ている。お色気もあったけど、どちらかというと健気な幽霊だ。一作目のように幽霊だからといって、いっしょに
いられないというストイックな部分はなく、ハッピーエンドな終わり方。相手が坊さんだからお経がネックになっているけど、もうちょっと険しい
試練があった方が良かったかな。
最初、トニー・レオンだと気付かなかった。こんなツルツルの頭で出てるなんて…。2月の初めには毎年、北海道にスキーに
来るぐらいスキー好きらしい(豆知識)。
1991年 チン・シウトン監督
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何ヶ国語も話せる人って、それだけで尊敬してしまいます。金城武の広東語。すごいなぁ。一つでいいから自国以外の言葉を
思い通りはなしてみたいものです。
現実にはあり得ないけど、憧れてしまう童話の中の恋愛。あまぁ〜い夢を美男美女の金城武とジジ・リョンが叶えてくれる。
とはいえ結構ドタバタな内容。現実的なものしか見たくないという人は避けた方がいいかもしれない。狭い設定の中で繰り広げられる
内容は舞台劇にしても良さそう。私は、ジョン(金城武)の部屋の床が気になってしょうがなかった。畳敷き?それもかなり中途半端に
真ん中の部分だけ…。イブ(ジジ・リョン)とはすれ違いばかりなので、私としてはそこが物足りない部分。恋愛映画はもう少し
ドキドキしたい気分です。唯一、二人が出会う公園のシーンはドキドキではなく、ほのぼのといった感じ。ジョンとイブは、お似合いです。
二人に絡むDr.フー(エドマンド・チャン)とシャオホン(テリー・クワン)のキャラが絶妙です。
香港の映画界は、俳優も監督もたくさん仕事をこなします。一年に4本ぐらい撮影するってあたりまえなのかなぁ。こなせる
状況にあるのも凄い事だと思う。
2002年 ジョニー・トー監督
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レスリー・チャンにとっては、自分の容姿の良さがハンディになっていたかもしれない、と思ったりする。演技派を目指す人、
或いは、実際に演技派の人にとっては時には邪魔なものなのかも…。
昨日まで正しいとされていた者が今日は罪人になってしまう。革命とは皮肉なものです。怪我をした革命家(レスリー・チャン)
と彼を支持する運動家、秋秋(メイ・ティン)そして、彼女に想いを寄せる医者(トッド・パブコック)。好きな相手に自分の
想いが通じなければ黙って見守るしかない。そして、好意を寄せてくれる相手の想いに応えられないのなら拒めばいいのだが、
それにすがらざるを得ない切なさ。それ以上はないと分かっていても愛する人のために自分を捨ててしまう。愛は不安定なものであり、
人を変えてしまうものだと思う。革命の波に呑まれてしまう三人の愛だが、悲しみや切なさだけではなく、前向きな気持ちも
与えてくれた。何をやってもサマになってしまうレスリーだが、今回の革命家役も説得力があった。そして、レスリーの英語の
発音はとてもきれいだった。
撮影後のインタビューで「政治の事は詳しくないので監督のアドバイスに従って演じた」と言っていたレスリー。彼ぐらいの
立場になると下手な事は言えないんだなと思いました。
1998年 イエ・イン監督
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レスリー・チャンの映画を観るたびに「惜しいなぁ」って思いばかり浮かぶのだけれど…。どうしてそうなったのかなんて考えても
しょうがないんだけどね。
レスリー・チャンの完全な悪役は初めてのような気がします。完璧すぎる。どうせ主役だから悪役でももったいぶった感じに終わる
のだろうと高をくくっていたら、悪役のままあっさり終わった。その後腐れのなさが余韻を残します。リック(レスリー・チャン)
は、自分の技に溺れたサイコキラーだ。単純な言い方だけど、ものすごい悪い奴。最後のシーンのレスリーの顔つきは、見事な
極悪人です。すごいの一言に尽きる。演技している時ってどこか違う次元に気持ちを持っていくのだろうか。多重人格者みたいに
違う人格が現れるのだけれど、奥の奥から、ちゃんとレスリーの姿が覗く。そこが魅力なのだ。銃の扱い方も様になっている。
亡くなった今でもアジア映画の頂点に存在していると思う。数多くの映画制作に携わってきた映画人としてのレスリーを感じさせる
作品でした。
DVDの特典映像のインタビューで映画作りにかける意気込みを語っていたレスリー。本当の彼を理解していた人は、果たして
どれくらいいたのだろう。
2000年 ロー・チーリョン監督
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レビューを書かないうちに夏が終わっちゃうぞぉ〜。毎日30度越えが当たり前だと思っていたけど、ようやく涼しくなり
始めた。昨日は皆既月食。肉眼で見られなかったのが残念…。
七夕をテーマにするなんてロマンチックです。淡く切なくて、一生忘れられない恋。残念ながらそんな風に心に秘めておく
恋の経験はありませんが、お互いが成長できる恋愛っていいですね。郁子(水谷妃里)と安くん(淳評)の恋はそんな恋だと
思います。関門橋の歩道だと思うのですが、夜二人が待ち合わせ、いろんな話をする場面が心に残りました。韓国と日本の事。
国や家族の事を思って将来を考える安くんは、かなり大人びている。一方、郁子たちはどちらかというと芸能人やおしゃれの事が
中心で、自分の将来に対してもそんなに強い信念を持っているわけではない。安くんが郁子に言った内容が私の琴線に触れた。
「日本は平和だからそれでいいんだ」争い事がある国の子供は、早く大人になってしまう気がする。一途な二人の心に胸打たれ
ます。
最近では、日本映画に韓国の俳優さんが参加したり、ドラマに出演されたりしています。ところで今ふと思ったんですが、
その逆って…ありました?
2003年 佐々部清監督
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香港ノワール作品としてアジアの国ではおなじみの作品のリメイクです。監督も役者も一流を揃えて、これでどうだぁって
アカデミーに殴り込みをかけた感じ…。
リメイクって難しいなぁと思います。この作品は、たくさん受賞しているので大きな声では言えませんが、それほどでは
ないかなぁと思いました。上手い役者をこれだけ揃えているのに、あまり役者の良さが出ていない気がした。残念…。
たぶん、オリジナルを観た事のないアメリカの観客だから受けたのかもしれません。一番印象に残ったのは、ビリー・
コスティガン(レオナルド・ディカプリオ)がどんどん疑心暗鬼に駆られていく様子です。屋上でコリン・サリバン(マット・デイモン)
と対峙する場面がとても良かった。もっと登場人物たちの生い立ちを感じられたら良かったのに…。オリジナルは
三部作のところを一つにまとめているのだから無理もないとは思いますが…。映画の出来映えは、良かったと思います。
たぶん、期待が大きすぎたんでしょうね。
NHKの番組でマーティン・スコセッシが今村昌平ファンだという事を知りました。少年のような瞳で今村監督の事を
語っていました。スコセッシにとって、本当はオスカーなんてどうでもいいのかもね。
2006年 マーティン・スコセッシ監督
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イギリス映画は、ロケーションがすばらしい。公開を楽しみにしていた作品だったが、近場での上映館が意外に少なかった
のが残念。
タイプライターの音をパーカッションとして使っている音楽が、とても印象的。小説家を目指すブライオニー
(シアーシャ・ローナン)のテーマ曲としてぴったりでした。1935年の夏、ターナーの屋敷で起きる出来事が発端と
なるこの物語は、ブライオニーの目線で語られていく。13歳には、かなり刺激的な出来事だったと思う。13歳のブライオニー
を演じるシアーシャ・ローナンは、実年齢もそれくらいだと思われるのだが、緊張感漂う素晴らしい演技で物語の前半を
支えていました。前半がかなり重要!自分の罪の大きさに気付いた時のブライオニーの気持ちを思うと…どうすればいいのか
わからなくなる。つぐないたくてもつぐなえない。そんな状況で自分に出来得る事としては、これしかないと思われる方法。
ブライオニーの想像力の豊かさが仇となってしまった出来事だったが、最後にはその想像力でつぐなうしかなかった
哀しさが伝わってきました。
最後の方で登場するインタビューアーがアンソニー・ミンゲラと知り驚きました。生前は病気で苦しんだと思っていたので、
こんな形で姿を目にするとは思っていませんでした。
2007年 ジョー・ライト監督
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保育園の時に使っていたお弁当箱がどろろのイラストでした。当時は、もうちょっと女の子らしいのがいいなぁと不満
だった。家族の中の誰が買ったのかは不明です。
いつも人間の愚かさや優しさを見せてくれるのが手塚治虫作品。寿海(原田芳雄)が百鬼丸(妻夫木聡)の身体を創っていく
発想は、医学を勉強した人ならではの内容。手塚作品は医学的要素が盛り込まれているものが多い。妻夫木聡は上手いですね。
天性のモノもあるのかな。若手実力派といえるのではないでしょうか。憎しみながらも逃れられない血のつながりに苦しむ
百鬼丸を見事に演じていました。親子、家族がテーマ。憎しみだけでは何も解決できないという事でしょうか。チン・シウトン
のアクションもほどほど?で良かった。特に百鬼丸が空中で身体を回転させて戦うシーンが好きでした。大作だと浮き足立った
感じで何を言いたいのか分からない感じになるのが常ですが、筋が通っていたしテーマにもブレがなかった。脇役も贅沢な使
い方をしていて、まるでNHKのよう(笑)。きちんと創られていたのでVFXの拙さも気にならなかった。最後に流れるミスチル
のフェイクの歌詞が心に響きます。
漫画を実写にするってかなり勇気がいる事だと思います。だいたいがその作品のファンには受け入れられない事が多い。
これは、どうなんでしょう?私は好きですが…。
2007年 塩田明彦監督
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邦画を観ると落着きます。若い頃は憧れだけで欧米映画を観ていたが、今は価値観の違いなのかしっくりこない事が多い。
借金取りの福原(三浦友和)と84万円という中途半端な借金を抱える文哉(オダギリジョー)の珍道中。この二人と麻紀子(小泉今日子)
、ふふみ(吉高由里子)の擬似家族シーンにおもしろさとせつなさを感じる。人間ってこういう時間を過ごしたり、大事にしようとして
一生懸命働いたり、時には決断しなければならなかったりするんだと思った。日常を送っているだけでは気付かない事が福原と文哉の
置かれた状況から見えてくる。福原の妻が勤めていたスーパーの三人組。国松(岩松了)、仙台(ふせえり)、友部(松重豊)、この三人
の行動は物語に緊張感を与えるはずのものだと思うが、やりとりのおもしろさでいい感じで気持ちが緩む。その他にもいろんな俳優が
細かく出演していて、一つ一つのシーンにこだわりを持って撮影している感じが伝わってきました。岸辺一徳の間に拍手。黄昏の東京
物語といった感じかな。
爆笑問題と深夜番組に出ていた時のオダギリジョーを見て、この人どんな俳優になるんだろうと思っていたけど、あっという間に
日本映画に欠かせない存在になったように思います。
2007年 三木聡監督
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劇中、佐々木家として使われた線路沿いの家。小学生の頃、渋谷に住んでいた相方が「この家知ってる」言ってました。長い間、建って
いる家なんだなぁ。
よく、隣の芝生は…と言いますが、何の問題も抱えていない家族などあり得ないわけで、昨今、傍目だけを気にして装っている家族や
夫婦の事を仮面なんちゃらと言ったりして便利に片付けていますが、それでいいのか?と思ったりします。本作品、私はどうしても
妻の恵(小泉今日子)
の立場で考えてしまうのですが、リストラを妻に打ち明けない竜平(香川照之)
に腹が立ちました。家族のかたち
を維持することは大事だと思うけど、竜平はその事にとらわれ過ぎている気がした。家族のありのままの姿が上手く映し出され過ぎていて、
身につまされる人も多いんではないかと思った。ただ、突拍子もない出来事も処々に織り込まれていて、その部分が引っかかる。
日常と非日常の比較に安易な感じを受けた。黒須家のいきさつについても、佐々木家を引き立たせる存在としか映らなかったのがちょっと
残念な気もした。話の内容にブレを感じなかったのは、佐々木家の次男坊、健二(井之脇海)
の存在があったからだと思う。
エンドロールのバックにずっと片付けている音が流れていて変わってるなぁと思ったが、そのせいか気持ちがざわついたまま終わった。
この監督の作品を観るのは初めて。たぶんそうだと思うが、もしかしたら私の波長とは合わないのかもしれない。もう少し年を重ねる
と理解できるのかな。まだまだ若輩者です。
2008年 黒沢清
監督
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ガエル・ガルシア・ベルナル
のゲバラも良かったけど、今回のベニチオ・デルトロも良かった。
まるでドキュメンタリーを観ている感じでした。国連での演説シーンを挟んで革命を達成するまでの記録。
チェ・ゲバラ(ベニチオ・デルトロ)
を知ったのは”モーターサイクル・ダイアリーズ”
でした。だから、ゲバラに
対しては革命家というより心優しい青年のイメージがあった。キューバ革命の事、その後のゲバラがとった
行動については何も知らなかったし、特に知りたいとも思っていなかった。ただ、あの心優しい青年と革命家
とのイメージが結びつかずにいた。そんな私の疑問に応えてくれるような作品だった。とても説得力があり
、彼のカリスマ性が理解できるような気がした。革命で戦う彼の姿を見ているだけで、切ない気持ちになって
しまう。日本に生まれ、あたりまえのように教育を受けてきたけれど、世の中の大きな動きに流されずに
立ち止まって自分の考えを確認する事の大切さを感じた。大きな事はできなくてもゲバラのような
生き方に少しでも近付けたらと思った。
役の準備にずいぶん時間をかけたというベニチオ・デルトロ。まるでゲバラが身体に宿っているかのような
すばらしい演技だった。
2008年 スティーヴン・ソダーバーグ
監督
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おすすめの一品 |
ペラーワイナリーアイスワイン3本セット |
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