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この映画の予備知識として…。ここに登場する元大統領アダムスは、第2代大統領の息子で
第6代になる。奴隷解放宣言が行われるのは実にその10代後のリンカーン大統領の時である。
何か教訓があるからこそ史実として残されてきたのだと思う。過去アメリカに於いては奴隷解放宣言は
されているものの、未だに人種差別が世界からなくなる事はなさそうだ。アフリカから奴隷船に
乗って来た様子が裁判で語られていくのだが、人間が物として扱われる状況に恐怖を感じました。
第6代大統領アダムス(アンソニー・ホプキンス)は、アメリカ建国の頃に皆の心を立ち返らせる
ため努力し、弁護士のボールドウィン(マシュー・マコノヒー)は人間の尊厳を守るべく努力していたと
思う。ユダヤ系のスピルバーグ監督だからこそ描けた内容かもしれない。
この間観た”ミュンヘン”にしろこの作品にしろ、だいたいは作り手側が熱くなり過ぎて観る側は
冷めてしまうものだが…。スピルバーグ監督は映画に意義を持たせるのが上手い。
1997年 スティーヴン・スピルバーグ監督
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2006/5/3 |
或る夜の出来事 |
IT HAPPENED ONE NIGHT |
昭和9年ってどんな年だったんだろう。想像もつかないけど…少なくともアメリカで起こる犯罪は
泥棒ぐらいのようだから日本はもっと平和だったかもしれない。
こういう古い作品を観ていると映画ってこんな風に残るんだなと思う。人の心がきれいだという
前提で描かれている作品だ。そして、アフリカ系アメリカ人は一般市民としては描かれていなかった
のも時代を感じさせる。新聞記者のピーター(クラーク・ゲイブル)は男性だけど料理もするし
アイロンもかける。そういえばヒッチハイクのシーンが出てくるが、いつ頃からこんな感じの
ヒッチハイクが始まったんだろう?モーテルの宿泊も疑われてはいたけど後払いOKだった。これは
今では信じられない事だ。世間知らずのお嬢様エリー(クローデッド・コルベール)の可愛らしさと
ピーターのかっこよさ、男女の描き方はたぶん今とそう変わらないと思う。というより今も当時の
ままと言った方がいいかもしれない。ピーターは現代でもモテる事まちがいなしです。
恥ずかしながらこの作品を観るまで私の中ではクラーク・ゲイブル=レッド・バトラーだった。
古くてもしっかり作られたものは褪せる事がない。
1934年 フランク・キャプラ監督
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イギリス作品は覚悟して観ないといけない。ラストが必ずと言っていいほど「これで終わり?」
と言う終わり方だ。その余韻の残し方が特徴と言えば特徴になるのだろうか。
日本人がこの映画を観ても罪の重さは伝わりにくいと思う。ヴェラ(イメルダ・スタウントン)
はご近所のおせっかいおばさんなのかもしれない。義弟の奥さんが「いつか大事になるわよ」
みたいな事を言っていたのが後で思い出される。広いとは言えない食卓で食事をしたりお祝いを
したりする場面がこの家族を象徴している。前半の活き活きとしたヴェラと、後半の自信を無くして
しまったヴェラとではまるで別人で役者の上手さを思わせる。この時代イギリスには避妊具が
存在していたと思ったのですが、一般には普及していなかったのでしょうか。欧米では堕胎に
関していまだに論争が起きたりするところをみると、宗教も絡む永遠のテーマなのでしょう。
問題を提起する映画としては上手く作られていると思います。誰しも身近にある問題として
考えられるようにできていると思う。
2004年 マイク・リー監督
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2006/5/22 |
大いなる遺産 |
GREAT EXPECTATIONS |
文豪の原作は読んでいませんが、100年以上前の作品であっても現代に通用する内容。
子供時代のフィン(ジェームズ・キスナー)が脱獄囚(ロバート・デニーロ)と出会う場面が
とても印象的でした。まだ何者にも汚されていない心優しい少年と穏やかな海の景色が合っていた。
脱獄囚の登場シーンにはちょっとびっくりしたけど…。大人のフィン(イーサン・ホーク)に
違和感はなかったが、エステラ(グウィネス・パルトロウ)は少しイメージと違った。エステラは
ニューヨークへは行くべくして行った感じがする。洗練された大人の女性だ。一方、フィンは
ニューヨークへ行って良かったのかどうか疑問が残る。自分自身をニューヨークに合わせてしまう
姿が見ていて痛々しい。愛は打算的であったり理由を求めたりしてはいけないのだと思った。無償の
愛でなければ…。それは男女の仲だけではなく、親子、あるいは全くの他人も対象になり得る
事があると脱獄囚が教えてくれた。
いろんな役をこなすロバート・デニーロですが、今回の役は結構ハマっている気がする。他には
”ミッドナイト・ラン”も気に入ってます。
1998年 アルフォンソ・キュアロン監督
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自分の前世が何だったかって興味あります。某TV局の”オーラの泉”で江原さんに視てもらいたい
ぐらいです。人間じゃないかもしれない…。
輪廻転生の話しです。前世と現在が交互に進んでいき、前世の事が解明されると同時に現在で
事件が起きる。サスペンスとしては良くできていて、かなり引き込まれる。俳優陣も申し分なく、
元精神科医?をロビン・ウィリアムズが不気味に演じていた。存在感があり過ぎて「この人絶対何かやってる」って
思わずにいられなかった。そんな事もあってか最後まで犯人の予測がつきにくい。前世がどんな風に
現在に繋がっているのか、その事ばかり考えて観ていました。勝手に盛り上がって期待も膨らんで
しまったので犯行の理由に説得力がなかった事にちょっとがっかり。犯人が矛盾してるんです。
犯罪者の気持ちは理解できないという所なのかもしれません。アンディ・ガルシアがせっかく気張って
老け役をやったのに…。結末って大事ですね。
この頃、ケネス・ブラナーとエマ・トンプソンは結婚していたんですね。良い雰囲気で映画が
仕上がっているのはそのせいかもしれない。
1991年 ケネス・ブラナー監督
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スペイン映画というと思い浮かぶのは”海を飛ぶ夢”かな?それ以外にも観ているかもしれないけど
ちょっと思い出せない。
とてもいい関係の母子だと思う。母の興味ある事、息子の興味ある事をお互いに共有しあう。
どんな間柄であってもこういう関係って理想ではないでしょうか。だいたい母は母親の役に息子は
息子の役にと徹して家族関係を築き、それが家族だと勘違いしている家族も多いのではないでしょうか。
自然体でいるという事は意外に難しいと思う。ここに登場する母マヌエラ(セシリア・ロス)は
とても愛情深く、強い。息子を出産する前のバルセロナでもかなり激しい生き方をしていたと
想像させる。この世の中、強い女と弱い男はペアになるようになっているのかも…。父親はマヌエラ
とは正反対で弱い男です。良くある事ですが、傍から見れば「なんであんな男と…」というパターン。
でも、ここに登場する人物たちは、みんな一生懸命だ。とんでもない生き方をしているんだけど
、誰にも批判する事はできない感じ。登場人物一人一人に対する監督の愛情が感じられた。
フランス映画に出てくるアパートメントもそうだけど、日本とは規模が違ってうらやましい。
きっと都会では賃貸があたりまえだから仮住まいという造りではないんですね。
1998年 ペドロ・アルモドバル監督
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2006/7/2 |
愛は静けさの中に |
CHILDREN OF A LESSER GOD |
始まり方が好きな映画ってあります。最後までその期待を裏切られる事はありませんでした。
映像がとても美しい作品です。
聾唖者との恋愛という事だけで、二人の間を阻むものの事を考えてちょっとドキドキしてしまいます。ジェームズ
(ウィリアム・ハート)が自分の心を抑えてサラ(マーリー・マトリン)に接していく。その様子から
サラをどれだけ大切に思っているかが伝わってきます。真剣な大人の恋って清々しい感じがする。
夜のプールでサラが泳ぐ場面はとても幻想的で美しく、音の無い世界を想像させてくれる。ジェームズ
の告白は予想できなかったが、心が伝わる感じで良かった。結局、どんな恋愛でも二人でぶつかり合いながら
前へと進んでいくのは同じですね。お互い危機に瀕してもヤケッパチにならずに、ただ時の流れるのを
待ったところが特に共感できた。二人の心の動きが丁寧に描かれていて、すばらしい恋愛映画
だと思いました。
マーリー・マトリンがとても魅力的で美しい。彼女自身も実際に聾唖者という事ですがそんな事を
感じさせない。聾唖者が言葉を憶え、声にして話す事がいかに大変かを知りました。
1986年 ランダ・へインズ監督
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2006/7/15 |
永遠の片想い |
LOVER'S CONCERTO |
以前にも書きましたが、韓国映画はやっぱり恋愛映画でしょう。と言うより少女漫画で育った
私の恋愛観が一致しているというだけかもしれない。
この作品全体的に映像がとても優しい。こういう言い方は冷めて聞こえるかもしれないが、韓国の
恋愛映画制作のノウハウはすばらしいと思う。観る側を純愛の世界へ自然に誘ってくれる。三人の
夏の思い出はかわいくって少し切ない感じ。ジファン(チャ・テヒョン)の三枚目的な雰囲気も
また盛り上げてくれる。そんなに期待を寄せていなかった男の子が急にかっこ良く見えたりする。
そんな瞬間を上手く演じている。ジファン、スイン(ソン・イェジン)、ギョンヒ(イ・ウンジュ)、
三人の気持ちを語り過ぎていないので後からジワジワと伝わってくる。スインが先輩のパーティーで
歌う詩がとても印象的で思わずホロリときました。ギョンヒの前半と後半の雰囲気の違いにも
びっくりしました。イ・ウンジュの演技力の高さを感じます。
24年という短い人生の幕を自ら下ろしたイ・ウンジュ。その事実を知って観ているからソン・イェジン
よりも儚さを感じた。
2003年 イ・ハン監督
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マリサ・トメイの弾けた演技が好きなのだが、この作品でアカデミー助演女優賞を獲得していたとは知らなかった。
彼女は不思議な魅力を持つ女性です。
ほとんどのアメリカ人にとって南部は封建的で古い考えの人がたくさん住む田舎というイメージなのだろう。
景色を眺めながら通り過ぎるには良い所かもしれないが、関わりを持つのは遠慮したいと思っているのかも。
そんな偏見も上手くブラックジョークにしながら最後まで飽きさせず引っぱっていってくれる。
どこからどう見ても弁護士には見えないビニー(ジョー・ペシ)。そして二人でいてもまさにヤンキー
にしか見えないフィアンセのモナ・リサ(マリサ・トメイ)。すべてがこのカップルを中心に進んでいく
ドタバタなのだが、ただのドタバタではない。法廷での論争もかなり盛り上がる。と言うより、
そこが一番の見所でしょう。モナ・リサの一途さがとても可愛らしかった。そして、最後には
南部の人が必ずしもよそ者を差別する訳では無いという事が保安官の行動によって証明された気がする。
映画には関係ない事ですが、マリサ・トメイの誕生日が自分より6日早いだけだという事を知った。
つまり同い年って事だけど、複雑…。
1992年 ジョナサン・リン監督
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TVコマーシャルでの美しい景色と音楽が印象的な作品です。トム・クルーズが製作として参加しています。
自分が開発したシューズで会社に大損害を負わせてしまうドリュー(オーランド・ブルーム)。
その事自体がストーリーには関係ない事だと分かっていても、具体的な理由を知りたかった。そこが
分からなかったのでドリューがとる行動にも説得力がなかったように思う。落ち込んだ自分を立ち直らせる
為には確かに時間と受け入れてくれる人が必要だと思うが、ドリューの行動はちょっと安易な感じがした。
父親の田舎と母親(スーザン・サランドン)の関係についても取り残された母親だけが悪者みたいになっているのがいただけない。
最後には許しあう感じだけど…。ただ、ドリューとクレア(キルスティン・ダンスト)が親しく
なっていく過程は良かった。日の出をいっしょに見ようとするシーンは特に心に残った。ドリューの悩める
心が伝わってこなかったのが残念。
感傷的な映画は、失敗すると独り善がりになりやすい。役者しだいでもあるので、真価を問われる事になると思う。オーリー
にはまだ早かったかなぁ…。
2005年 キャメロン・クロウ監督
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2006/7/28 |
狼たちの午後 |
DOG DAY AFTERNOON |
前から観ようと思っていたが、”ソード・フィッシュ”を観たのと、ジョニー・デップがこの映画の
アル・パチーノの役をやってみたいというインタビュー記事を見てその事を思い出しました。
’72年に起きた実話を元にした作品です。映画が作られるぐらいだから当時かなり話題になったのだと思います。
不思議な事件です。人質は一人も死ななかったのに…。主犯格のソニー(アル・パチーノ)が普段
どんな人物なのかとても気になった。犯行の様子を見る限りでは、人情味のある人のように思える。
モレッティ刑事(チャールズ・ダーニング)とのやりとりにもハラハラさせられたが、人質の事を
よく考えてあげていた。そして相棒のサル(ジョン・カザール)も追い詰められていると思いきや
他人の健康を気遣ったりする。犯人と人質たちの間に生まれる一体感は、よど号のハイジャック事件を
思い出しました。犯人像のクローズアップがよくできている。私自身もこのまま何も起こらないで
終わってくれという気持ちになった。事件の解決方法については賛否両論あったのだと思います。
でも、私はこれが最善だったかと思う。
私が初めてアル・パチーノを観たのは”セルピコ”でした。この作品もほとんど同時期、同監督ですね。
1975年 シドニー・ルメット監督
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お世辞にも若いとは言い難い3人のイラストがとても気になった。観るのはもう少し後にしようという思いを
3人に読まれているかのように「観て!」と訴えられた気がしました。
靴下工場の朝は、同じ事の繰り返しである。ハコボ(アンドレス・パソス)と
マルタ(ミレージャ・パスクアル)の間で何年続けられてきたのかはわからないが、出だしの
映像から想像するに代わり映えなく毎日行われてきたのだろう。仮想夫婦を演じる事は、お互い
違う一面を垣間見る事になったと思う。とは言うもののそんなにどきどきするような年齢でもなさそうだ。しかし、
マルタに関しては違う。明らかに…。女心ってかわいいなと同姓ながらに思ってしまいました。
ハコボがどうして気が利かない男になったのかは分からない。もしかしたら、母親の看病をしている内に自ら
幸せへの道を閉ざしてしまったのかもしれない。それとも、弟のエルマン(ホルヘ・ボラーニ)
に対するポーズなのか…。とにかくこの3人で繰り広げる心理戦がとても微笑ましくおかしかった。
ウルグアイの作品です。”ウィスキー”という言葉は写真を撮る時のかけ声でした。日本で言う
”チーズ”ですね。幸せを装うという事なのかな。
2004年 ファン・パブロ・レベージャ監督 / パブロ・ストール監督
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”モーターサイクル・ダイアリーズ”の主人公
ガエル・ガルシア・ベルナルが非常に気になり、このメキシコ映画を観た。
犬がどんな風に登場するのかわからなかったが、犬にもちょっと惹かれて観たのは事実です。だが、登場する犬がみんな哀しい生き方だった。
それにめげました。人間も哀しいのだけど、自分の招いた結果かなと思える。交通事故を起点にして、その前後の何人かの出来事が
繰り広げられる。お互いそれぞれの人生に脇役として出てくる感じだ。一番好きな人とはいっしょに居られないのかな?3人の登場人物に
関して言えばそんな事を思った。3人それぞれに大きな罪を背負っているので、それに対する酬いなのかもしれない。
人間ならば自分の中に摂理を持って行動すべきだと思うが、この3人は心のままに愛を求めた。それが、原題”犬のような愛”
なのだろうか。
タランティーノの”パルプ・フィクション”を思い出させる作りです。それを意識しているのでしょうか。
1999年 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督
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”フロム・ヘル”でのロンドンの街並みもすばらしかったが、この作品のオープンセットも同じくらいすばらしいと思った。
こういう内容は現代の日本人にはピンと来ないのではと思う。私などは、田舎から都会に出てきた人間なので、
少しは理解できると思っています。原作はどんな風なのかわかりませんが、オリバー(バーニー・クラーク)
の礼儀正しい言葉遣いが印象的でした。生きる術として救貧院で身に付けたのだろうか。そして、とても可愛らしい子です。
フェイギン(ベン・キングスレイ)の目に適うのも納得できる。それにしても、フェイギンの存在感はすごい。
さすがとしか言いようがない演技です。フェイギンに最後の最後まで心を奪われてしまう。子供の
話しだけど子供が観るにはかなり残酷な話しだと思いました。ビル・サイクス(ジェイミー・フォアマン)の
極悪人振りは、落ち着いて観ていられないほどだった。いろんなエピソードが盛り沢山で130分弱に収めるには少し
無理があるような気もしました。
個人的にはNHKの海外ドラマのシャーロックホームズのファンなので、エドワード・ハードウィックが出てきた
時に結構盛り上がりました。
2005年 ロマン・ポランスキー監督
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チャーミングという言葉がピッタリのドリュー・バリモア。そして、その才能を生かせる実力も備えていると思う。
”シンデレラ”の童話を基にした話。ハッピーエンドになると分かっていても激しく心を動かされたのはドリュー・バリモアと
アンジェリカ・ヒューストンの演技力に因るものだと思う。ダニエル(ドリュー・バリモア)の健気さはシンデレラのイメージより
もう少し元気な感じ。その健気さを引き立ててくれる義母ロドミラ(アンジェリカ・ヒューストン)の意地悪。グリム兄弟やミケランジェロ
といったお馴染みの人物を登場させたり、離婚するのはイギリス人だけみたいな台詞を言わせてみたり、細かいところまで作り込まれて
いると思った。貴族の衣装や仮面舞踏会の華やかさも見所です。特にダニエルの蝶の衣装はとってもかわいかった。もちろんロマンス
の部分も適度に焦らした感じになっていて満足できるのではないでしょうか。
この間観た”プライドと偏見”と同じ系統です。両方ともロケ地がすばらしい景色でした。そういえば、主人公ってみんな少しオテンバ
ですね。
1998年 アンディ・テナント監督
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東北が田舎の私は、よく人から「田舎があっていいね」と言われる事が多い。それがいいのかどうかは、なくなってみないと分らない。
主人公のサンウ(ユ・スンホ)以外の出演者は素人。本物にこだわった監督の思いによるものだと思うが、それにしても思い切ったものです。
結果的に監督の思惑通りだったと思う。おばあちゃんってこんな風だったなぁと亡くなった祖母の事を思い出しました。初め、母親と二人暮らし
のサンウには老人や動物に対する思いやりがなかった。加えてわがままで負けず嫌いの癇もある。それがおばあちゃんの深い愛情で
少しずつ変化していく。おばあちゃんと住むという事は、こういう事なんだと思った。サンウがどんな事をしてもおばあちゃんから
注がれるのは愛情だけ。子供時代には安心できる愛情が必要なんだと、つくづく感じた。「ごめんね」と謝る姿にサンウの成長を
見た気がする。
メイキングを観ると、映画の内容と現実がシンクロしていると思った。素人といえども妥協せず演技に取り組む姿と、監督の忍耐強さに
拍手を送りたい。
2002年 イ・ジョンヒャン監督
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2006/9/3 |
エミリー・ローズ |
THE EXORCISM OF EMILY ROSE |
ホラーだと思って期待してしまうと肩透かしをくらうかもしれない。どちらかというと法廷ドラマ。予告編の作り方、間違えていると思います。
私も弁護士のエリン・ブルナー(ローラ・リニー)と同じだ。悪魔の存在は信じる事ができない。だからこそ、こういう作品を観てしまう。
エリンのように体験するのと、映画で観るのとはかなり感じ方も違ってくると思うのだが、悪魔の存在自体が7割方カトリックのプロパガンダだと
思っている。この作品中でも聖母マリアが利己主義的な事を語っている。人々に神の存在を信じさせ、信仰を深めさせるためにエミリー・ローズ
(ジェニファー・カーペンター)を選んだと。ムーア神父
(トム・ウィルキンソン)は信仰の深かったエミリーのために、その事実を
世間に広める必要性を感じ、公の場に出たのだと思う。そこは、かなり心を打たれました。悪魔を信じていなかったエリンが、信じ始めると
いうところで説得力を持たせていると思う。しかし、裁判の結果には驚きました。こんな判決も陪審員制度の国ならではという気がします。
ローラ・リニーの演技にはいつもやられたぁという感じです。”ロレンツォのオイル”が映画デビュー作とは知りませんでした。
2005年 スコット・デリクソン監督
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原作は英国の優れた文学に与えられるブッカー賞を受賞した作品という事です。原作が優れていればいるほど、映画化にはプレッシャー
がかかるから大変だと思う。
金儲けのためと言うよりは、純粋に賭けを楽しむオスカー(レイフ・ファインズ)とルシンダ(ケイト・ブランシェット)。名優二人が
演じているせいか、とても愛嬌のある人物になっている。ルシンダの船室で二人が初めて意気投合する場面での息の合った演技は、
まるで夫婦漫才を見ているように絶妙。最後までこの調子でおもしろおかしく進むのかなと思っていたが…。中盤からはオスカーの
切なさが前面に出て、全体的に悲哀を感じさせる運びになる。レイフ・ファインズはその様子を見事に演じきっていたと思う。この
オスカーという男の謙虚さと頑固さには誰にも口出しさせない強さがある。とても残念な結末ではあるが、女性と聖職者の賭けを
非難する時代柄、恋愛もまた儘ならないのは当然かなと思った。オスカーに近づく未亡人の行動にびっくりするとともに、そこまでしないと
女が生きていけない時代だったのかと思うと、少し哀しくなる。
この二人が演じていなかったら、もっと単調な流れで終わってしまったかもしれないと思う。作品を生かす事ができる俳優ですね。
1997年 ジリアン・アームストロング監督
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グルミットが大好きでしたが、このシリーズを観るのは初めて。思っていた以上にハマりそうです。
今風な言い方をすればロハスな生活だと思います。ウォレスとグルミット、この二人の生活こそ自然と共存していく生き方。今回は、
そんな生活の中で人間の傲慢さが騒動を招いてしまい、実は人類に警告を発しているという内容に感心。意外に深いなぁ…。発明家
であるウォレスが陥りやすいのも納得です。ウォレスの発明は、とことんエコロジー。なのに、ちょっとした気のゆるみ?から踏み入れては
いけない領域へと入ってしまう。うさぎが野菜好きなのにはきっと理由があって、そこだけこちらの都合に合わせて変えようと思っては、
歪みができてしまう。すべての自然に当てはまる事なのではないでしょうか。しかし、そんなこむずかしい事は措いといても十分に
楽しめる。グルミットが巨大瓜に電気毛布を掛けたり、音楽を聴かせたりと愛情を注ぐ姿は、可愛すぎて、こんな肩がある犬欲しい!と
思ってしまいました。
”ゴーストバスターズ”、”サンダーバード”、”キングコング”を思い起こさせるシーンでクスッと笑える。子供より大人が楽しめるかも。
2005年 ニック・パーク&スティーヴ・ボックス監督
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おすすめの一品 |
ペラーワイナリーアイスワイン3本セット |
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