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フランス映画らしいと言えばらしいと思う。好きな人にとってはこの何かを投げかけられる感じが良いのかもしれない。
思い掛けない出会いが運命を変えてしまう事がある。クレール(ローラ・ネマルク)とメリキアン夫人(マリアンヌ・アスカリッド)
がそうだ。二人とも心情的には辛い時期に出会ってしまうが、お互いが相手を勇気づけられる存在になり得ている所が素敵だ。クレール
にとって子供を生む上での不安は何だったのだろう。生めば私生児になる事?それとも収入が安定していない事かな。最初こそ、そんな
理由だったのかもしれないが、本当のところはどうだろう。定まっていない自分の人生のせいなのかなとも思った。刺繍をしている
時のクレールは心構えが違う気がした。いつもより大胆にふるまえる。好きな事に出会い仕事にするという事は、こんな風なんだなぁ
と思い羨ましかった。今まで暗く影がさしていた世界が180度変わって、なんだかすべてが上手く運んでいくような感じの終わり方が良かった。
伯母が文化刺繍をやっていたので、刺繍にはそのイメージがあったのですが、これは随分と違ったものでした。特に繊細な感じがした。
2003年 エレオノール・フォーシェ監督
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2006/9/29 |
過去のない男 |
MIES VAILLA MENNEISYYTTA |
”かもめ食堂”の人だ。マルック・ペルトラを見てそう思った。もちろんこちらの作品の方が先なのだが…。
私にとっては奇想天外な始まりで、あれよあれよという間に作品が持つ独特な世界に引き込まれて行った。記憶をなくすると言う事は、
自分を消極的にさせてしまうと思うのだが、マルック・ペルトラが演じる過去のない男は違う。どちらかというと、世の中のしがらみから
解放され新たな人生を与えられて楽しんでいるかのよう。記憶を失った人によくありがちな行動、例えば町を彷徨いながら記憶の
かけらを探し続けるというような事はしない。与えられた場所に根付こうとする様子は、今までに観た事のある記憶喪失モノとは
明らかに違う。悲観的ではなく、焦りというものがない。新しい世界で再生していく話。住居となったコンテナを住み心地良く改装し、
畑まで作る主人公の様子がまさに再生を象徴していると思った。でも、今が上手くいけばいくほど過去が気になってくるのも人間の
心情というもの。そんな気持ちを汲み取ったラストになっていると思う。
挿入歌がクレイジーケンバンドなんて渋すぎる。果たして映画公開の頃、彼らの知名度はいかほどだったのでしょう。
2005年 アキ・カウリスマキ監督
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’67年の作品。この頃のサスペンスものは丁寧に作られているという印象を受ける。技術が発達するのも良い事ばかりではないのかもしれない。
ほとんどがアパートの一室で繰り広げられる物語だ。元々舞台劇だというから納得です。オードリー・ヘプバーンの盲目のスージー
役がすばらしい。その事を軸に進んでいく内容も面白く、ハラハラさせられる。3人の男が合図を送りながらスージーのアパートを
巧みに出入りする様子が見所。中でもサングラスをかけたロート(アラン・アーキン)の存在が無気味。ヒッチコックの作品同様、
時代を感じさせません。スージーの恐怖が伝わってきます。そして、当時の電化製品も今ではおしゃれなアンティークに見えて楽しめる。
自分の外見に対して、コンプレックスのかたまりだったというオードリー。この作品の時は30代後半だったと思うが、とても可愛らしく
オードリーらしさが出ていると思う。
1967年 テレンス・ヤング監督
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ポール・ハギスにとってこれが第一回監督作品。賞をとらなければ日本で公開されなかったかもしれない。アカデミー賞の意義が
あったと思う。
アメリカ、ロサンジェルスでの出来事ではあるが、どこの国でもありえる事だと思って観た。かなり重い内容で、果たして解決策
はあるのだろうかと途方に暮れてしまいそうになる。人種間の考え方の違い、それぞれが持つ無知という壁。どれをとっても人々を
不幸へと導いてしまう事ばかり。そんな状況下の中で諦めてしまいがちな人々の気持ちを引き止める力を持つ作品だと思った。極めて
客観的に描かれているからだろうか。次々に起きる出来事は救い様がない感じなのに最後まで観終わると、なんとか大丈夫ではないかと
思える。垣間見える登場人物たちの共通点。それは誰もが皆等しく家族の幸せを思って生きているという事。一人一人がとても愛おしく
思えた。それこそがこの映画が言いたかった事なのではないかと思うと、胸が熱くなった。特にライアン巡査(マット・ディロン)
の行動は、この映画の象徴的シーンではないかと思えた。
これだけたくさんの俳優が出演しているのに、うるさく感じる事がなかった。総ての俳優が作品を良く理解し、役所をわきまえていると
思った。
2004年 ポール・ハギス監督
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常々思う事だが、映画は体調の良い時に観るべきだ。特に睡眠不足の時、こういう映画を観てはいけない。しかし、隣の女子学生
も前半は睡魔と戦っている様子だった…。
カポーティ(フィリップ・シーモア・ホフマン)の喋り方がかなり個性的です。もちろんカポーティ本人を研究した結果だと思う
のですが、喋り方から気の弱い性格が伝わってくる気がした。最初は興味本位だったものの、殺人事件に首を突っ込みすぎるあまり
自分の心までも蝕まれていく様子が窺える。子供の頃、やってはいけないと言われてもやらずにはいられなかった事を思い出した。
後戻りできないと知ったその時は、既に遅くそれ以前の自分に戻る事はできないと知る。大きな罪を犯したペリー・スミス(クリフトン・コリンズ・Jr)
は、結局カポーティの手に余る人物だったのではないだろうか。こんな体験をしてしまったら確かに次の小説は書けなくなるだろう
と思った。何か書こうと考える度に、この時の経験が浮かんで他の考えを遮ってしまうと思う。カポーティは、この作品に自分の
残りの人生総てを賭けてしまう事になったのかもしれない。
本でもDVDでもいいから”冷血”という作品を知りたい。それを知らない事には、犯人達をどんな風に理解していたか確かめる事が
できないと思った。
2005年 ベネット・ミラー監督
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ロバート・アルトマン監督の作品を観るのはたぶん初めてです。データベースとして利用しているallcinema ONLINEのプロフィール
の出だしがすごかった。
想像もしていなかった内容で正直びっくりでした。ほんわかしたドラマかと思っていたら、かなり皮肉の効いたサスペンス。
カミール(グレン・クローズ)の迫力がすさまじかった。でも、どこの一族にも必ずこういう人が一人はいそうという感じの
存在。彼女のせいで問題がどんどん大きくなっていく。姉妹なのにコーラ(ジュリアン・ムーア)と性格が正反対。コーラも
初めからこういう性格ではなかったと思うのだが…。意外にもコメディタッチな部分をクリス・オドネルが担当。ちょっとドジな
保安官助手で顔のリアクションのとり方がいい。結構はまり役だったと思う。リヴ・タイラーのボーイッシュな姿も良かった。
結末はカミールがちょっとかわいそうな気がした。真実はそうじゃないでしょう。それとも少しの間のお仕置きのつもり?
ドタバタしているように感じるがよくまとまっているのは、話の筋に食い違いがないせいだろうか?キャスティングも功を奏している
と思う。
1999年 ロバート・アルトマン監督
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女は元気ですねぇ。まっ世間の迷惑にならないぐらいだったら元気な方がいいと思う。実話を基にした作品だけど粋でさわやか。
婦人会なんてものは、どこの国にもあるものなんですね。たぶん田舎に行けば行くほどだと思う。実家の母親も参加していまし
た。ご近所づきあいがある分だけ田舎の方は、かなりスキャンダラスな話しが聞こえてきたりする。家の事情を隠そうと思っても
隠せない。しまいには、開き直るしかない。しかし、どう開き直っても自分達のヌードカレンダーを作るところまで行きつかない
と思うのだが…。言い出しっぺのクリス(ヘレン・ミレン)は、すごい勇気の持ち主だ。最終的にみんなが賛同したという事は、
女性は常にそういう願望があるという事でしょうか。みんなで何かを企むという行為を見ていると、最高にワクワクする。
ファーストクラスを体験する彼女たちをとっても身近に感じました(まだ未体験だけど)。泣いて、笑って、すっきりさっぱりって
自分でもよく分かんないけど、そんな映画です。
芸達者な人ばかりがたくだん出ていますが、中でもピカイチだったのが”リトル・ダンサー”でも名演技を見せたジュリー・ウォルターズ
でした。
2003年 ナイジェル・コール監督
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2007/2/2 |
黒水仙 |
LAST WITNESS |
”MUSA”でのアン・ソンギの演技に惹かれこの作品を観る事に…。この作品は日本で公開されるまでに二年の歳月を要している
スパイ、朝鮮戦争。韓国の人々にとって、ついこの間の出来事であり身近な事なのかもしれない。特に、映画を制作する人たちに
とっては、題材として一度は取り上げるぐらいが当たり前なのかも。いつの時代でも、戦争は家族や恋人たちを離れ離れにしてしま
しまう。ファン・ソク(アン・ソンギ)とソン・ジヘ(イ・ミヨン)の二人も再会するまでに、取り戻せないほどの長い歳月を費やして
しまう。二人の過去は、ジヘの日記をオ刑事(イ・ジョンジェ)が読む形で語られる。私としては、ソクと別れた後の事をもっと
詳しく知りたかった気がする。と言うのも、ジヘの様子からはあまり歳月の流れを感じることができなかったからだ。しかし、
殺人事件の容疑者が日本の宮崎にいるとは…。高千穂峡が出てきた時は、一瞬火サスを観ている錯覚に陥った。寡黙なソクが、初めて
自分を見せるラストがいい。しかし、ソクとジヘの年の差が気になってしょうがなかったが、私だけでしょうか。
この作品は、かなりハリウッドを意識した作りになっていると思う。できれば韓国映画界には、ハリウッドの方を向いて欲しく
ないのですが…。
2001年 ペ・チャンホ監督
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プライド、プロ意識。韓国映画を観ているとそんな事を感じる。観た人たちのレビューが意外に良かったので選択したのですが、
観てみて納得です。
VFXが苦手な私でもストーリーが存在する映画は許せる。いや、この作品はかなりイケテルと思う。半信半疑で観始めたのだが、
侮れない内容だ。パク一家の脱力感がこの内容に現実味を与えてくれる。特にカンドゥ(ソン・ガンホ)の存在が…。ヒョンソ
(コ・アソン)のために一つになる家族の姿に共感できた。いつもいっしょにいるのも家族かもしれないけれど、こうして何かの時
にさっと集まれるのも家族じゃないかと思った。私は、どちらかというと後者が理想です。どこかで見憶えのある役者ばかりだなと
思っていたら、眼光鋭いナミル(パク・へイル)は”殺人の追憶”で、アーチェリーが勇ましくかっこよかったナムジュ(ぺ・ドゥナ)
は”ほえる犬は噛まない”に出ていました。二人とも存在感のある役者だと思う。そして、子役とはいえ素晴らしい演技力を発揮
していたコ・アソンのこれからが楽しみです。
一つ前のポン・ジュノ作品が”南極日誌”だったので、正直あまり期待せずに観たのが良かったのかな?ちなみにこの作品は
日本公開までの時差がほとんどない。
2006年 ポン・ジュノ監督
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2007/3/15 |
恋人たちの食卓 |
EAT DRINK MAN WOMAN |
またまたアン・リー監督作品です。台湾出身だったんですね。主人公はいるけどあんまり明確に区別されていない。彼の作品か
はそんな印象を受けます。
中華料理の調理風景や食し方、それが見どころ。一流ホテルのシェフであるチュ氏(ラン・シャン)の調理する様子が見事で
かっこいい。しかし、娘の立場になれば少し重く感じてしまうかな。3人の娘の描写が絶妙。亡き母の代わりとして責任を感じる
あまり、頑なになり自分を抑えすぎる長女チアジェン(ヤン・クイメイ)。父との確執に悩みながら早く家を出たいと願う次女
チアチェン(ウー・チェンリン)。自由奔放に自分の人生を謳歌するチアニン(ワン・ユーウェン)。3人の名前の最初に付く”チア”
とは、漢字で”家”。なんだか、がんじがらめな感じがする。親娘の会話は少なく、テーブルに載った料理で父親の様子を窺う
娘たち。そんな場面を見て家族って何も言わなくても解り合えるなんていうのは違うなと思った。ほんとは娘たち以上に父親の方が
家から解放されたかったのかもしれない。それぞれの人生を生きる事が家族の幸せと言えるのかな?
お料理の映画が好きな人には”ディナーラッシュ”や”マーサの幸せレシピ”もお勧め。しかし、毎回思うことだが中国系の
女性は手足が長い事。うらやましい。
1994年 アン・リー監督
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2007/4/14 |
暗い日曜日 |
GLOOMY SUNDAY |
レンタルDVDの在庫が少ないみたいで、やっと観る事ができた。待ったかいがある映画でした。
”暗い日曜日”というシャンソンの名曲。この曲にまつわるエピソードを基に作られた映画。シャンソンは、ほとんど聴かない
けれどこの曲は耳にした事がある。それぐらい有名な曲だということだろう。一度聴くとしばらく耳に残る。シャンソンは人生を
達観していないと聴けない音楽という気がする。日本でいうと演歌かな?歌詞が心に染みます。3人の男女の不思議な関係と
第二次世界大戦でのユダヤ人の悲劇をうまく絡ませた内容になっている。かといって、悲劇のまま終わるのではなく、どちらかといえば
清々しい終わり方だ。こういう作品を観ると終わり方って大事だなとつくづく思う。奔放に見えるイロナ(エリカ・マロジャーン)。
悲しみに暮れるだけでなく、彼女なりに戦う姿がかっこいい。女性としてこうありたい、こうなれるように努力したいと思った。
戦争の事を洪水と表現していたが、まさにその通りだと思った。
エリカ・マロジャーン、とても美しい女優です。美しいだけではなく知的な感じがいい。最近では久々に観た欧米の映画となった。
1999年 ロルフ・シューベル監督
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毎回、思うのですが香港の人はよく働きます。公開して最初のレディースデーとあって混みあっていました。それにしても
このタイトル、ベタな邦題です。
出だしの尾行シーンがよかった。アンドリュー・ラウは、撮影監督出身だからかこういうシーンの撮影がとても上手いと思う。
そして、幾度となく映しだされる香港の摩天楼。美しい夜景だったり、曇り空の景色だったりと監督の香港へ対する愛情が感じられる
映像の仕上がりだった。文字通り人間のダークな部分を見せるノワール作品ですが、必ずその中に灯る光がある。今回、その光は
フォン(スー・チー)だったと思う。ずっとポン(金城武)に向けられていたフォンの愛。最初、ポンにとっては心の傷を癒す
ためだけだったが、そのうち少しずつ変化していく。そんな二人の関係に救われた気がした。そう思うぐらいにトニー・レオンの
ヘイ役が嵌り過ぎていていて、闇の世界に引きずり込まれてしまいそうだった。ヘイ(トニー・レオン)にも自分に向けられた
一途な愛があったはずなのに、その大切さに気付くのが遅すぎた。そう思わせるラストシーンだった。
スー・チーは、”夢翔る人/色情男女”というレスリー・チャン主演の作品で見たが、その時も良い演技だった。だいぶ前の
作品だけどその頃とあまり変わっていないような気がする…。
2006年 アンドリュー・ラウ監督
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2007/7/25 |
カル |
TELL ME SOMETHING |
”八月のクリスマス”コンビですね。それと全然違う内容だけど…。血がたくさん出てきますので苦手な方は観ないほうが賢明か
と思います。
出だしからバラバラ殺人のシーンが登場します。こういうのが苦手な私には試練です。チョ刑事(ハン・ソッキュ)と共に
犯人は誰かを考える事になります。ハン・ソッキュの刑事役は、はまり役ですね。サスペンスとして良い出来だと思います。
観る人の心理を捉えるという事は、サスペンスにおいては不可欠な条件。たぶん私は、作り手の思惑通りに犯人を考えさせれて
いたと思います。そして、もう一つ小道具の使い方がとても上手いと感じました。それらを観客が見逃さないようにも工夫され
ている。スヨン(シム・ウナ)の証言が、全て再現フィルムのようになっているのも分かりやすくてよかった。どうしてこういう
殺人を犯してしまったか。動機を考えるに至る話しの流れになっています。猟奇殺人は、何らかの理由で人格が崩壊した人が罪を
犯していると思う。そう思うと納得のラストなのかもしれないが、ここまでに至るほどの動機か?という気持ちも否めない。
言われてみれば、この友達役はヨム・ジョンアではありませんか。ショートカットで全然気付かなかった。シム・ウナは、
相変わらず綺麗です。残念ながらもう引退したんですよね。
1999年 チャン・ユニョン監督
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ホラーを映画館で観るなんて、私としてはあり得ないことだけど観てしまいました。それも前から二列目なんて…。混んで
いましたよ。みんな怖いのが好きなんですね。
とても品のあるホラー映画でした。日本ならではのオドロオドロしさもあり、背筋がゾクッとくる感じ。後をひく怖さとでも
いうんでしょうか。観終わった後も頭から放れません。因果応報の話しで、新吉(尾上菊之助)と豊志賀(黒木瞳)に同情して
しまいます。しかし、この二人の出会いも完全に因果応報の中に取り込まれてしまった結果だったような気がします。出だしの
一龍斎貞水の語りといい、尾上菊之助の面立ちといい怪談の世界が見事に作り上げられていました。配役が良かったと思う。特に
尾上菊之助は、新吉を好演していたと思います。周りに流されるままの生き方で、深追いする女の方が悪いんだと言わんばかり
の無責任で主体性のない色男ぶりが全面に出ていました。そして、歌舞伎俳優だけあって、着物の時の立ち居振る舞いが自然で
とても美しかった。やっぱり、ホラーは日本の十八番かなと思わせる作品でした。
残念ながら、たまぁに俳優の立場の方が強いなと感じさせる作品もありますが、これは監督の力が感じられました。監督に力が
ないとつまらない作品になってしまう事もある…。
2007年 中田秀夫監督
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2007/9/14 |
公共の敵 |
PABLIC ENEMY |
しばらくソル・ギョングの作品が続きそうです。ちなみにソル・ギョングは、ソン・ガンホ、チェ・ミンシクと並んで”演技派
ビッグ3”と呼ばれているそうです。
ボクサーから警察官になったアウトロー刑事チョルジュン(ソル・ギョング)と韓国では最もタブーとされている親殺しの
ギュファン(イ・ソンジェ)。簡単に云えば、この二人の闘いだ。事件に絡む部分は、とても暗く嫌な気持ちになるが、
チョルジュンの少しとぼけた感じが暗さを少し和らげてくれる。特に、事件について何か閃いた時や許せない犯罪を目にした時
の表情が印象的だ。気の抜けた表情から目だけが見開かれて変化していく。まさに目の演技、もしかしたら瞳孔しか変化して
いないかもしれない。そして、そんな怒りをぶつけるには十分すぎるほどの悪人ギュファン。こちらもチョルジュンに負けない
くらいのキャラクターの強さです。二人の演技対決といってもいいかもしれません。ちなみに、私が一番好きなシーンは駄菓子屋?
のおばちゃんと張り込み中のチョルジュンのやりとりの部分です。笑えます。
”公共の敵2”もいい男が悪役みたいです。いい男に恨みでもあるのかな?まぁその方が面白いけどね。
2002年 カン・ウソク監督
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日本に来る韓国映画には、まだまだ偏りがあると思う。ハリウッド映画だって良い作品が来るかといえば必ずしもそうでは
ないので、配給会社って難しいなぁと思います。
今度のカン・チョルジュン(ソル・ギョング)は検事に出世しています。またまた、独特な愛嬌で周りの人たちを巻き込んで
いる。ずっとスーツを着ているので、前作のような粗暴さは半減しているが、そこは面白さでカバー?できている。とにかく、
私はこのキャラクターが大好き。悪に対して猪突猛進。そんなチョルジュンを必ずフォローしてくれる部長検事(カン・シニル)が
またいい。前作もそうだが、男前で地位も名誉も手に入れた自己中心的な男、ハン・サンウ(チョン・ジュノ)が闘う相手。
パターンが決まっていて水戸黄門的なのだが、ソル・ギョング見たさだけで観てしまう。酔っ払って押しかけた部長の自宅で
、ラーメンを横取りして食べるチョルジュンの表情が印象的。その部屋での会話が一番の見どころかもしれない。何も考えないで
観る事をオススメします。
公共の敵3もあるみたいです。3は内容的に1−1となって、完全に一作目の続きのようです。検事も良かったけど、やはり
刑事のカン・チョルジュンが見たい。みんなそう思っているのかも…。
2005年 カン・ウソク監督
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観るぞっ!という心構えで臨んだ方がいいでしょう。登場人物もたくさん出てきます。ちなみにグッド・シェパードとは
聖書からの引用で”良き羊飼い”という意味だそうです。
CIAのエージェントとして厳格に仕事に取り組むエドワード(マット・デイモン)の生涯。その人生は、父親(ティモシー・ハットン)
の自殺に多大な影響を受けていると思う。「組織と家族どちらのファミリーを選ぶか」とあるが、家族への道は早い段階で
閉ざされていたように見える。それはエドワードが望んだことではないが、仕事をこなす内、結果的にそうなっていた。
諜報活動という特殊な仕事柄、人と知り合う事の恐ろしさを感じた。歴史的な事件を絡め、過去と1961年現在を行き来する
運びになっている。終わりの方で読む父親の遺書の内容が現在のエドワードの心境と同じ気がして、それが皮肉に思えた。脇を
多くの癖のある役者に囲まれていたが、決してマット・デイモンの存在感が薄れる事はなかった。心の奥深くに潜むエドワード
の感情を存分に表現していたと思う。こういう作品は、役者の演技力なしには作れないと思った。
藤沢周平の作品でも、組織の中にいる男の悲哀みたいなものが描かれる事が多いが、この作品もそんな作品でした。派手に
表現するわけではなく、静かに男社会を描いていました。
2006年 ロバート・デ・ニーロ監督
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怖い映画は、やはり邦画に限ります。そんなところから、この作品を選びました。ホラーだと思っていたらサイコだった。
日本のヒッチコックと言ってもいいくらいかも…。
人間ほど怖いモノはない。そう思いました。人間の心理を読んで、巧みに作られた作品という気がします。こういう作品
を観た後は、やられたぁという気持ちになりますね。配役も良かった。特に、津島さと美役の中谷美紀が良かった。彼女
じゃなかったら成立しなかっただろう、ぐらいの良さです。一つの誘拐事件を真ん中に置いて、過去と未来が描かれている。
それに関わる便利屋の黒田(萩原聖人)や実業家の小宮山(光石研)、そして、浜口警部(國村隼)、登場人物の間に
流れる恐怖や疑い、欲などの感情、まさにカオス=混沌の世界が繰り広げられる。その中でも始終何を考えているのか
読めないさと美(中谷美紀)の表情。その表情を見ていると「見てはいけない部分を見ている」という気持ちになる。
他人の生活を覗いているという後ろめたい気持ちにさせる。それがラストの彼女の行動へと繋がるのだと思う。中田監督の
作品は、言葉では言い表せない独特の空気感があります。
”アモーレス・ペロス”という作品を思い出しました。あの作品も一つの交通事故を真ん中に置いて話しが繰り広げられます。
腕の良い監督の手にかかると、とても効果的な手法です。
2000年 中田秀夫監督
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劇場で観ようか観まいか、迷った末にいつも観ないで終わってしまうのが邦画です。でも、最近はいい役者が多い。特に
若手が…。
これは、おもしろい。いったい何が出てくるんだ?という感じで観始めたが最後。そのまま引き込まれてしまいます。
家元(小栗旬)、オダ・ユージ(ユウスケ・サンタマリア)、スネーク(小出恵介)、安男(塚地武雄)、いちご娘(香川照之)
、5人の登場人物の個性が強すぎる。でも、どこかにいそうな感じもする。アイドル如月ミキ(酒井香奈子)に対する入れ込み方
が激しすぎて笑えます。でも、気持ちは分かる気がする。特に、どんどん謎?が解明していく中での家元の心理は、よく
分かるなぁ。これは”十二人の怒れる男”と同じだね。最初は、少し距離を置いて観ていた自分が、最後には登場人物
たちといっしょに考えている。そして、アイドル如月ミキの愛すべきキャラクターがくっきりと浮かび上がり、
それが、嘘偽りのない姿であったろうと思わせてくれる。なんだかほっとするような終わり方がいい。
役者と制作者側の方向性にブレがなく、一体感があって良かった。すべてがかみ合う事って、そんなにある事じゃないと
思います。
2007年 佐藤祐市監督
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いっときマジシャンのセロの番組をよく観ていた。身体を宙に浮かせたりする大掛かりなマジックよりも、コインを使ったりする
、考えると仕掛けが分かりそうなマジックの方が好き。。
なんとなく”プレステージ”のイメージで観始めたのだが、ちょっと違いました。奇術師のアイゼンハイム
(エドワード・ノートン)とウール警部(ポール・ジアマッティ)のシーンは、二人の演技対決と言ってもいいくらい見応え
があります。身分違いの愛というのは恋愛の壁としては、とても典型的だと思う。それでもドキドキしてしまうのは、アイゼンハイム
の奇術師ぶりがかっこいいからかな?いつも冷静で賢いアイゼンハイムに比べ、皇太子(ルーファス・シーウェル)はちょっと
劣る感じ。公爵令嬢ソフィー(ジェシカ・ビール)に対するアイゼンハイムの想いが再会の表情に表れていた。そのシーンは、
ドキンとする感じ。そして、同じくソフィーもアイゼンハイムの事を想ってペンダントを身につけていた。偶然をも計算に
入れたトリック。すべてを明らかにするのではなく、あえて明らかにしない。マジックと同じですね。
エドワード・ノートンの作品を観たのは久々です。ダークな役柄もいいけど”僕たちのアナ・バナナ”や今回のような
甘いのもいい。いろんな役柄に挑戦して欲しいと思う役者の一人です。
2006年 ニール・バーガー監督
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おすすめの一品 |
ペラーワイナリーアイスワイン3本セット |
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